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仔犬のすてっぷ

第7章 過去と今と…


「……あれ?」

 中扉を開けて、照明のスイッチをオンにする。
部屋の中央、テーブルにうつ伏せて、蒼空が寝ていた。
どうやって入ったのかな?と、彼を見ると、眠っている彼の脇に、元々用意されていた合鍵が置いてあった。
 それには合鍵と分かるように、大家さんが付けてくれた、猫を模った塩ビ製のキーホルダーが付いている。

(外に隠して置いてあるやつを見つけた訳か…)
 わざと彼に分かりやすいように、電気メーターの裏に挟んで隠してあったのだけど、それをあっさり見つけるのは流石というべきか?

(…それにしても……よく眠ってる)

 こうして見ている分には、なかなかカッコいいイケメンなんだけどなぁ。
やる事が…三枚目なんだよね〜(笑)


 侵入者事件の時の蒼空の顔と比べると、今は寝ている仔犬に見えなくもない。
(シェパードの仔犬の顔に似てるかも…)


「あの時は、守ってくれようとしてありがと。なかなか格好良かったぞ?」

 僕は小さくそう呟いて、蒼空のほっぺたを軽くつついた。


「・・・ぅん?……あ」

「……あ。起こしちゃった?」

 蒼空は、ムクッと体を起こすと、ぐうぅ〜んと大きな伸びをしながら、大きなあくびをした。

「いけねぇ…寝ちまったい」
「何時から部屋に来てたのさ?」
「ん〜…9時ぐらい…だったかなあ?なあ、アンタ。あんなトコに鍵置いてたら危ねえよ・・・ん?なんか、顔、赤くなってねえか?」

ちょっとした出来心で彼のほっぺをつついた自分に赤面したらしい。
相変わらず、我が体は正直者だ(苦笑)


「あ、いや、我ながらバカな事したかなって、恥ずかしくなっただけだよ」

「そうだよ。あんなトコに隠すなんて、イマドキのガキだって危ねえって分かることだからな」

(…良かった…そっちに話が向いて)

ほっぺをつん…の方だったら答えを探すのに骨が折れそうだったからねぇ(苦笑)


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