
仔犬のすてっぷ
第9章 僕等と一緒に
え?
「私の兄が、ココのエラい人と知り合いで…もし、キャンセルとかあれば宿泊出来るかも?
聞いてみるね?」
……え?いや、僕は……
第1、僕らは一緒に泊まったりは………
「………良かったね。
一部屋空きがあるって☆どうす……」
「いや、あの、僕ら……」
「泊まります!!」
ゴゴゴゴゴ・・・と、何処から発生しているのか分からない、でも、身体中に感じる地鳴り音をバックに、蒼空がゆっくり立ち上がる。
「え?あ、そ、そら?」
「と・ま・り・ま・すっ!!!」
「OK、分かった。………はい、じゃあ、林原さんで2名、よろしくお願いします☆・・・取れたよ?良かったね?」
…………。え、えっと………(大汗)
「うおおっしゃああああー!!泊まりじゃあ!浴衣じゃあ!!花火大会じゃあああ!!」
蒼空の背景に、見知らぬ火山が現れ、大噴火を起こしているのがよく見える。
「天は…神は……我に味方したあぁっ!ざまあみろニーチェ殿!神はまだ生きておられたわあ!!!」
・・・・・・あの〜〜?
僕の、意見は??(汗)
「やったね?蒼空君♡これで、みんなと花火が見られるね♫」
「ありがとー!里美さん!
俺は今、サイコーに幸せですっ!!」
すっかり仲良くなった結さんと蒼空が、
何処か外国のキレイな雪を抱いた山脈が見える草原の上で、
ヤギ達や羊飼いの少年と、少女とおじいさんとセントバーナード達に見守られながら、両手を繋いでスキップしながらくるくると回り出した。
「あ…れ……?私、もしかして余計なコト……しちゃったの、かしら?」
「い、いえ……ありがとう…ございます……」
僕の背景は、色気も味気もない、ベタ塗りでしっかり真っ黒に塗り潰されていた。
・・・て、貞操の危機が・・・
迫っている、かも?
