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ぼんやりお姉さんと狼少年

第30章 始祖の子との対峙 後編*


そんな事を呟きつつ、ククっと受けている。


「なに?」


何か可笑しいことを言ったのだろうか。

牙汪がくつくつと低い笑い声を上げ続ける。
下にズボンだけ履いたそんな彼の様子を眺めながら、ほぼ裸の男女が向かい合い、何をしてるんだろうかと今更に思う。


「わりぃ。 あんま色気なさ過ぎてやる気なくなった」

「はあ!?」


色気がないだと!?
あんなにやる気満々だった癖に?


「……っか、どうせ最後までする予定なかったし。 それに、よくよく見るとあんた全然違うもんな。 よし乃はそんなに鼻低くなかったし、もう少し品もあった。 奴の執着に少し引っ張られたけど、何かもうスッキリして気が済んだ」

「悪かったわね」


確かに私はあそこまでキレイじゃないもん。
時代が違うのもお忘れなく!

けど待って、待って。
あなたのスッキリとかどうでもいいのよ。

それじゃ私が困るんだから。


「ダメ! 決めたんならちゃんとしようよ!!」

「……あのなあ。 おい、ちょっと。 乗ってくんな」


牙汪の膝にずいと乗ろうとした私をどかそうとするので、彼の体に回した腕に力を込めてそれを阻止する。

往生際の悪い。
だってしないと意味ないんじゃないの?


「いまさらそんな、照れなくっても」

「照れてな……っ! 舐めんなって。 っつか、挟むな! ちょッ、なにこの痴女っ、おい。 いいのか? 今お前の伴侶見てるぞこれ」


琥牙?
反射的に周りを見渡すも、いるわけが無い。


「見……っ?」


見てる?


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