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ぼんやりお姉さんと狼少年

第5章 この後掃除が大変でした


しばらくしてバスルームから琥牙が戻り、小さく息を吐いてから私とテーブルを挟んで座った。


「二人とも帰ったよ。 アイスでも食べる?」

「……うん。 色々ありがとう」


気を使って謝ってくる琥牙は確かに同い年位と言っても今なら頷ける。
そんな彼を眺めながら立ち上がりかけた。


「もうこんな時間。 私もシャワー浴びてくるね」

「真弥。 ちょっと抱きしめていい?」

「ん? いいよ」


はい、そう言って立ち膝の状態で緩く手を広げると琥牙がことんと私の肩に頭を乗せてきた。
背中とシャンプーの香りのする頭を撫で撫でする。
よしよし。 今日は色々あったもんね。

そういえばハグって精神安定剤的な効果があるのよね。
どっちかというと私が抱きしめてる感じだけどまあいい。


「ごめんね、うちのやつらが迷惑かけて。 もう雪牙にもあんな事言わせないから」

「全然気にしてない。 私もごめん。 琥牙の事悲しませたし」

「それはもういいよ。 けどおれ、やっぱり真弥が他の男に触られんのは嫌なんだ」


「ん……うーん、でも」

「なに?」

「高遠さんは多分大丈夫だよ。 無理強いなんてしそうにないし」


あの時も普通に帰ろうとしてたし。
琥牙には分かんないんだろうけど彼の立場上、下手なことをするなんてまず無いだろう。


「そういうとこ」

「ん?」

「真弥のそういうのってホントに困る……あん時自分がどう見られてたかとか分かってないの?」

「……どうっ、て?」


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