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え、ちょっと待って、なんで私が勇者なの!?

第5章 勇者光邦

光邦の頭から、いくつもの「?」が浮かぶ。

「光邦の力は私の想像を超えてました。おそらく、地球人とこの星の人類との力の差があるのだと思われます。ジャングルで猛獣のハナチャンを蹴りで退散させたり、ウラユさんの小屋で数人の兵士の槍を押し返したり……いま、あの大男の腕をはらっただけでへし折ったではありませんか」

「へし折った? え、あの男の腕を?」

チョットがイワハシに駆け寄る。

「申し訳ありませんでした。まさか、ケガをされるなんて思ってもみませんでした。お詫びといたしましてこちら、治療費と謝礼です」

チョットが、ある用紙をイワハシに渡す。受け取ったイワハシが、その用紙を見て、苦痛から驚きに変わった。

「えっ……ちょ、本当に?」

「はい、お受け取りください」

「は……あ、ははは……はは、いいよ、許してやるよ」イワハシは腕を押さえながら、その場をヨタヨタと去っていった。

光邦が、「そんなつもりじゃなかったの、ごめんねぇ~」とイワハシに声を大にして送る。

しかし、まだ光邦は半信半疑だ。

「つまり、この星の人にくらべたら、私は超人並みってこと?」

「おそらく……」

「じゃあ、なんであんたは平気なの?」

「私は、この世界では、地球でいうギネス級の石頭で、頭だけならほぼ大丈夫です。しかし、それでも光邦の蹴りやどつきは、ヤバいほど強い衝撃がきます」

「よく生きてるね」

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