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え、ちょっと待って、なんで私が勇者なの!?

第5章 勇者光邦

自分の力は、弱いわけでもないけど強いとも言いがたい。格闘はもちろんケンカも出来ないし、気の強さはあるが、話し合いでなんとかしたい。

試しにチョットの事務所の建物の壁を、力を込めて押してみた。

メキッといった。

このままやれば、壁に穴をあけてしまう。

「ねぇ、あの男にいくら渡したの?」

「そうですね、50兆ほど」

「そりゃ、腕の一本くらい破壊しても……てか、凄すぎるわ」



二人は戦いの旅に出る準備をしていた。

チョットは、分厚い胸当ての上から金色のミノを被せ、足にはパッドをはめた。

「光邦、気が付きました?」と突然、問いかける。

「なにが?」

「ウラユさんが猟師の落とし穴に落ちた時、底には何本もの竹槍でようなものが合ったにもかかわらず、ほぼ無傷だったのです」

「たしかに。何本か体を貫いててもおかしくなかったわよね」

「私が溜池まで行くまでの間、放置された落とし穴を覗いて見ましたら、何本か槍の先が折れていたんですよ」

「あの子が重いから?」

「違います。地球人の体を貫けなかったんですよ。だから、槍の先より地球人の体が硬いんです」

「て、ことは?」

「鎧もなにも必要ありません」

「いや、欲しいわ」

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