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え、ちょっと待って、なんで私が勇者なの!?

第5章 勇者光邦

握ったところから、ミシミシと音がする。

ダイトーロが噛み付いてくる。だが、肉が硬いのか、噛むに噛めない。だが、光邦は痛い。

「痛い痛い痛い痛い……いい加減にせい!」

握ったダイトーロの前足から、ドロドロと茶色い液が流れる。

「捕まえたらなんでも食べれると思うんじゃないわよ!」

しまいには、握り潰してしまった。片方の前足を破壊した光邦はアメフトのボールほどあるダイトーロの頭を掴む。

ダイトーロの複眼にある黒い目が広がる。

もう一つのカマが外れた。

光邦は、頭を掴んだまま宙吊りになる。

「あ、剣が」

ダイトーロに捕まった拍子に、剣を落としてしまったようだ。

ようやく立ち上がれたチョットが、剣を手に取ると、支えているダイトーロの四本の脚をぶった切った。バランスを崩したダイトーロは大きな音をたて、木と木の間に挟まるようにして倒れてしまった。

運良く、ダイトーロの白い腹の上に落ちた光邦は、汗びっしょりになって這いつくばるようにチョットの元によった。

「無茶しすぎたわ、怖かったぁぁ」

「凄いです光邦。よく反撃しましたね」

「結局、あんたの手柄じゃない。ありがと」

「だけど、なぜ昼間に活発に動きだしたのでしょう?」

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