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え、ちょっと待って、なんで私が勇者なの!?

第7章 ガシ国

焚き火で炙った干物で腹を満たし、オイドは薪が詰まった袋の口をしっかりと紐で閉じた。

そしてそれぞれの紐を一つにまとめ、しっかりと繋げた。

光邦は、不安げにその作業を見つめる。

「ねぇ……船ってそれ?」

「一人ずつこの薪の入った袋を抱えて、流れに身を任せる」

「ちょっとちょっとちょっと、おっさん」

思わず光邦が止める。

「なんだ?」

「いや、最初からずぶ濡れになるのは承知なわけ?」

「それ以外なにがある」

光邦は、イカダを想像していたが、まさかのそれ以下とは……。

「どうすんのよ、この荷物、化粧道具も入っているのよ」

「明日、乗り方を教える。とりあえず今日は休むがいい」

「明日死刑を迎えるのに、気持ちよく寝れますかいな!」

「死ぬとは言ってないだろ。まあ、人を襲う魚はいるが、まあ、滅多なことではでくわさん」

「あかん、明日私は死ぬは……死ぬなら地球の日本で死にたかった……」

光邦は仰向けに倒れた。

チョットは、薪の入った袋をさする。

「明日の出航が楽しみですね」

「宇宙人の神経とのギャップに、これほどまで悩まされるなんて、これはある意味貴重な体験と言っていいのかしら?」

寝息とため息を交互につきながら、光邦は眠りについた。

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