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え、ちょっと待って、なんで私が勇者なの!?

第8章 アーナル

次のナナミーに行くには、深いジャングルと険しい山を越えなければならない。

気合を入れなおすため、光邦はメイクを塗り直す。

「おい、光邦。なんでまたその顔にならなきゃならないんだ? なんかその顔を見ていると、心持ち不愉快になるんだが……」

「もう、昨夜兵士とか言うヒゲ男爵にさらわれた時、素顔を見られたら危なそうだから、急いでメイクしたのよ。で、変な場所で無関係の私が魔物と戦ってさぁ、それからお風呂も入らずぱほで遊んでたから、汚い顔がよけいに崩れちゃって……メイク落とすよりもつけなおす方が早いのよ。てかさぁ、この顔見て不愉快と感じるってことは、あなた自分の顔を見て不愉快と思うようなものよ」

「いや、そうかもしれないが、お前、私の顔、いや自分の顔を汚いって言うなっ! 私が言われてるような気になるじゃないか!」

「それは、この顔が自分と鏡合わせだってことを認識してることと同じ。私は……」と言いかけ、ふとファンデーションを塗る手を止めた。

「……あれ? 私、なんでアーナル壺菊って名前の源氏名つけたんだっけ?」

「待て、今なんと言った」とアーナル。

「私の源氏名、アーナル壺菊。それがどうかした?」

「私のフルネームは、アーナル、ツボール菊田だ。菊田は母親の地球での苗字ってやつだ」



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