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え、ちょっと待って、なんで私が勇者なの!?

第10章 ターキー国王

「見てごらんなさいよ。これが戦争してる国の風景かしら?」

光邦は、窓の外を見てそう言った。

父親に手を引かれ、笑顔で歩く女の子の姿や、中年女性が顔を見合わせて談笑している様子がうかがえた。

あくまで争っていたのは、選ばれし者同士。住民には、さほど影響は感じられない。

「地球で起こった戦争って知ってる? 代表の勇者がどうのこうのじゃないのよ。一般市民が大勢命を落としてるのよ。地球から見たら、ここは被害は大きくないし、選ばれし者だけが戦うだけだからまだマシかもだけど、それを冷静に考えたらバカバカしいと思わない? 全部、あの国王のせいよ」

それを聞くと、デンブは上半身を起こした。

「俺達は、やつの復活のために利用されたコマってことか。なんか、腹がたってきたな」

「でもさ、これから国を復活させるのも、増やしていくのも、最後に残ったあなた達次第。もう、減らそうとする者はいないんだから」

光邦が似合わない笑顔を見せると、デンブは勢いよくリバースした。

「どういうことやねん」





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