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月光蜜浴

第1章 神と結ぶ泉

思わず後ずさりをしてしまう。だって、この格好ではさすがにまずい。それにここは女人しか立ち入れない場所――逃げたい。でも泉から上がってしまうと……!



一瞬の迷いが真実を惑わす。だから、足元にまで注意が及ばなかったのだ。




「きゃっ」



しかし少女の身には何も起こらなかった。少年が自分の方へ引き寄せていたからだと理解するのに、そう時間はかからなかった。抑揚のない声で一言だけ、大丈夫かと。前髪から雫がしたたるその姿は美しく官能的――思わず見惚れてしまうほどに。



「……? おいどうした――」


「んっ」



吐息さえも肌を震わせ、甘い声が零れてしまう。




「不思議だな。もっと聞いてみたい」




無表情に近い少年が、整った顔をさらに近づけ唇を重ねる。知らなくても本能的に理解している。何を、どうすればいいのか。何も知らないはずの少女の身体は元に喜びを感じ、少年から与えられるであろう快楽を期待してしまっている。



それは始まりの合図となる――。


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