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分け合う体温

第3章 押し倒されて

「ちょっと、理人とお父さんを、一緒にしないでよ。」

「なんだ?由乃。理人だって、お父さんの遺伝子が入っているんだぞ。」


急に、目が大きく開いた。

そうだ。

私にもお父さんの遺伝子が、組み込まれていて、理人にも同じように、お父さんの遺伝子が組み込まれている。

同じ、遺伝子同士。

同じ……


途端に、気持ち悪くなった。

「大丈夫?由乃?」

「ううん、吐きそう。」

私は立ち上がって、トイレに駆け込んだ。


食べたモノは、吐かなかったけれど、吐き気は治まらなかった。

しばらくして理人が、洗面所にやってきた。

「大丈夫か?由乃。」

優しく背中を、摩ってくれた。

「あんまり意識しすぎ。俺達の事。」

口を拭いて、理人の方を向いた。

理人は、下を見ていた。

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