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分け合う体温

第3章 押し倒されて

「そんなに抵抗あるんだったら、明日から抱くの止める?」

「やぁ……」

思わず、理人に抱き着いてしまった。


理人の匂いがする。

ほっとする匂い。

この匂いが好き。


「理人は……何とも、思わないの?」

「別に。好きになった女が、たまたま姉だっただけ。」

私達は、見つめ合った。

「だろ?」

私は、コクンと頷いた。

「俺さ、この関係を始めようと考えた時、誰にも言えない分、この気持ちは、揺るがないようにしようって、思ったんだ。」

「揺るがない……気持ち?」

「うん。由乃は?誰に聞かれても、俺が好きだって言える?」


私は、歯を食いしばった。

泣くところじゃない。

そんな強い気持ちで、私を想ってくれていたなんて。


「もしかして、俺だけだった?」

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