機動戦士ガンダム~サマーバケーション~
第3章 夏の終わり
子供たちはすっかりヒロミとカイトになついた。
子供たちの親代わりの立ち位置だから、強がってツッパってきたマコもふたりには何でも話せて相談できるようになっていた。
戦争で家を焼かれ、親兄弟も殺された子供たちが力を合わせて、支え合ってこの島で暮らしている姿には心を打たれるし、戦争の当事者だったカイトもヒロミも心を痛めた。
「これからは、みんなここで楽しく暮らそう」
「もうツラいことはないからな」
と言うヒロミとカイトに、「ずっと一緒にいてくれる?」と子供たちは言った。
ふたりは優しく頷く。
この時はずっとここで、みんなと一緒に生きていこうと思っていたのだが、運命はふたりを放っておかなかった・・。
カイトのところに恋人であり、上官の娘だった女性がやってきた。亡命したカイトの行方を八方手を尽くして突き止めてきたのだ。
カイトはジオンではエリートでありモビルスーツ部隊の隊長まで務めた男だ。
ジオンは再興に向けて動き出している。今戻れば彼女との結婚としかるべき地位を保証すると説得に来たのだ。
気ままな今の暮らしとエリート人生。それに返事を渋ればジオンが頻繁にここへ来ることになってここを戦争に巻き込んでしまうかも知れない。カイトは苦悩した。
ヒロミのところにも元部下の女性がやってきた。お互いに好き合ってはいたのだが上官と部下の関係だからプラトニックを貫いていた。
彼女は連邦の勝利によって出世して新型戦艦の艦長になっていた。
ヒロミが連邦に戻れば、彼女が所属する艦隊の士気官として迎える話を上層部につけてくれたとのことだ。またヒロミと一緒にいたいという一途な想いから彼女もがんばっているのだ。
ヒロミもまた自分の人生を思い悩んだが、ここだけは戦争に巻き込みたくないというのはカイトと同じ気持ちだ。
「よう、エリート。出世とカノジョのところへ戻るのか?」
珍しくヒロミとカイトがハモった。
もし軍に戻るとして、このカリン島だけは絶対に戦争に巻き込まないと誓い合った。
家を焼かれ家族も失って、それでも明るく生きている子供たちにもう涙は流させない。
「もし軍に戻るのなら、今度会ったら敵同士だな」
「そうなるか。またいつかのように楽しく戦おうぜ」
またまたハモってふたりは笑い合った。
お互いに目の前にいる男がソロモン攻略戦で戦った相手だと確信していた。
子供たちの親代わりの立ち位置だから、強がってツッパってきたマコもふたりには何でも話せて相談できるようになっていた。
戦争で家を焼かれ、親兄弟も殺された子供たちが力を合わせて、支え合ってこの島で暮らしている姿には心を打たれるし、戦争の当事者だったカイトもヒロミも心を痛めた。
「これからは、みんなここで楽しく暮らそう」
「もうツラいことはないからな」
と言うヒロミとカイトに、「ずっと一緒にいてくれる?」と子供たちは言った。
ふたりは優しく頷く。
この時はずっとここで、みんなと一緒に生きていこうと思っていたのだが、運命はふたりを放っておかなかった・・。
カイトのところに恋人であり、上官の娘だった女性がやってきた。亡命したカイトの行方を八方手を尽くして突き止めてきたのだ。
カイトはジオンではエリートでありモビルスーツ部隊の隊長まで務めた男だ。
ジオンは再興に向けて動き出している。今戻れば彼女との結婚としかるべき地位を保証すると説得に来たのだ。
気ままな今の暮らしとエリート人生。それに返事を渋ればジオンが頻繁にここへ来ることになってここを戦争に巻き込んでしまうかも知れない。カイトは苦悩した。
ヒロミのところにも元部下の女性がやってきた。お互いに好き合ってはいたのだが上官と部下の関係だからプラトニックを貫いていた。
彼女は連邦の勝利によって出世して新型戦艦の艦長になっていた。
ヒロミが連邦に戻れば、彼女が所属する艦隊の士気官として迎える話を上層部につけてくれたとのことだ。またヒロミと一緒にいたいという一途な想いから彼女もがんばっているのだ。
ヒロミもまた自分の人生を思い悩んだが、ここだけは戦争に巻き込みたくないというのはカイトと同じ気持ちだ。
「よう、エリート。出世とカノジョのところへ戻るのか?」
珍しくヒロミとカイトがハモった。
もし軍に戻るとして、このカリン島だけは絶対に戦争に巻き込まないと誓い合った。
家を焼かれ家族も失って、それでも明るく生きている子供たちにもう涙は流させない。
「もし軍に戻るのなら、今度会ったら敵同士だな」
「そうなるか。またいつかのように楽しく戦おうぜ」
またまたハモってふたりは笑い合った。
お互いに目の前にいる男がソロモン攻略戦で戦った相手だと確信していた。