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会社での出来事

第3章 3

「凛々、年考えたら? その動き膝に来るよ?」

後ろから現れたのは、メガネをかけてリュックを背負った男性???だった、場所が場所ならオタクぽくてあまり、喋ったことない感じだと思う。

「ひっどーい!あたしのこと可愛いって言ってくれたんだよ?!」

口を膨らまし抗議する凛々?さん。彼はメガネをクイッと上げて、私をちらりと見遣る。

「ごめんね、知らない人にこんなはしゃがれて迷惑だよね。凛々、帰るよ」

彼女の腕を掴み早々と去ろうとする彼に彼女は、唇を膨らませさらに抗議する。私はお礼がしたいと思い、思わず引き止めてしまった。

「あ、あのー!助けていただいたお礼もしたいので!」

ぴたり、と動きが止まる2人。彼の方は頭を抱え、彼女の方は嬉しそうに目を輝かす。

私は、彼女と彼に連絡先を聞いた。彼?と思っていたが、連絡先のアイコンと名前を見ると女性だった。驚く私を見て、彼女もとい愛梨さんはいつものことのようで何も気にしていないようだった。

さらに驚いたのは、なんと2人とも交際してるというのだ。

「べつに驚くようなことではないでしょ。同性愛なんて」

同性愛の言葉に凛々さんは少し顔を曇らした。

私は不思議そうな顔をするとぴしゃりと愛梨さんが言い放つ。

「人には詮索されたくないこと、一つや二つあると思うけど?初対面の人にここまで話すなんて珍しいし。とりあえず、今日は帰りなよ。」

突き放されたような言い方。眼鏡の奥で睨まれているようで私はたじろいだ。凛々さんが穏やかに言う。

「愛ちゃん、悪い子じゃないの。私の事大事にしてくれてるだけで。嫌な思いさせたらごめんね?」

謝らなくていいと制する彼女を無視して頭を下げる凛々さん。私は首を振り、そのまま会釈して、電車に乗り込む。私は電車の中で愛梨さんの言葉の意味を考えた。

(嫌われちゃったかな……)

愛梨さんのトーク画面を開く。謝ろう、そう思って文字を打ち込んだ。

「先程は凛々さんに助けていただきありがとうございます。また、私の態度で愛梨さんを不快にさせてしまったようで本当に申し訳ありません。性の多様性を理解しているつもりでしたが、初めて接したので戸惑いがありました。あと、詮索するつもりはなくて、凛々さんの表情が曇っていたので何かあるのかと思ってしまいました。何か事情があったのを察することができず申し訳ありません。」

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