扉を開けて AN
第22章 冷たい水の中
まずは 俺の方を見なくなった
毎日何度も視線を感じてたのに
今では 目が合う事は皆無
偶に 翔ちゃんがこっちを見てる気がして
ちらりと伺っても 視線をふいっと逸らされてお終い
最近では “あんなに目が合うと思ってたけど
それは単に勘違いだったのかも”なんて気もしてきた
翔ちゃんは俺を見てるんじゃなくて
単にこっちの方角を見てただけなのかも
それをたまたま俺が見て
結果として視線が合ってただけだとしたら
俺ってとんでもなく恥ずかしい勘違いヤローだ
てゆーか、そんな俺を鬱陶しく、
或いは気味悪く思った翔ちゃんが
意識してこっちを見るのをやめたのかな