
刑事とJK
第19章 西の白虎、東の青龍
「じゃあ始めまーす…」
シゲは開票作業に入った
「津森…、真理子…、真理子…、津森…」
一枚ずつ紙を広げていく
「まりこ…、津森…、真理子…、津森さん…」
いい勝負だ
「あんた、なかなかやるわね~」
「あんたもよ」
「津森…、津森…、津森さん…」
津森は鼻で笑った
「真理子…、まりこちゃん…、津森…、まりこ…、真理子…」
今度は真理子がほくそ笑んだ
「…津森…、真理子…あ、残り一票だ」
箱の隅に最後の一枚があった
今のところ、64対64で同点だった
…次で勝負が決まる―――!!!
シゲは紙を開いた
そして出た言葉は…
「……この票、無効ー。」
「えっ!!??」
「無効ってどういうことなの!?」
「無効なものは無効なんで、すいませーん…ってことは同点のままですね。
お互い健闘を讃えあって握手しましょーか」
ふたりは、しっくりこないまま握手をした
「次は勝つからね♪」
「あたしもあんたの鼻っ柱折ってあげるわ」
こうして、虎と龍の戦いは一次休戦となったのであった…
―――――――――――
「…あの無効になった票、先輩のでしょ?」
静かになった部屋で、シゲは斉藤に尋ねた
「あ?
何のことだ?」
「もー…なんでもないですよ」
全く…。
紙に〔ゆうひ〕なんて書いてあったら、そんなの先輩しかいないじゃないっすか
開票してる僕の身にもなってくださいよ
シゲは小さく笑った
