
刑事とJK
第26章 副担任
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「おぉ、入るぞー」
と言って藤野が部屋に入って来た
斉藤は相変わらず机から顔を上げないで「ああ」とだけ返事した
藤野はその机の上にボンッと何かを置いた
見ると、眼鏡とスーツだった
「…何だ?」
「お前、明日から教師な」
「はあ!!??」
藤野は椅子に腰掛けた
「実はな…ある教師からストーカー被害届が来ててな…
最初は贈り物をもらったり、手紙をもらったりだったらしいが、だんだんその中身が陰湿なもんになってきたとか…」
「誰の仕業かわかってんのか?」
「それがわからんから、なっ」
「オレが潜入して犯人を暴け…か?」
「スマンな~、詳しいことはここに書いてあるから、よろしく!!」
藤野はポンッと紙束を置いて、さっさと出て行った
あいつ…めんどくさいこと押し付けやがって…
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「――――ってわけだ」
『へー…、で、あたしのクラスの副担になったのは何で?』
「偶然。」
うぜっ
「まぁそんな感じだ。じゃあな、丹羽さん(笑)」
斉藤は眼鏡の端をクイッと上げた
『ちなみにそれは…』
「だてめがね」
『きざ野郎』
「何とでも言いな」
斉藤は片手を上げて行ってしまった
斉藤が職員室に戻ると、井淵は明るい笑顔を返した
「斉藤先生?
教室に戻ったんじゃ…」
「やっぱ腹減ったんで、先に食べますわ」
斉藤は座った
井淵は微笑んでいる
自分が警察に届け出て、そのために斉藤が来たとは、井淵は知るよしもなかった
