
刑事とJK
第29章 父の壁
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斉藤が家に帰ったのは、夜の11時だった
明日仕事を抜ける分、今日は多めに働いたのだった
中に入ると、部屋はきれいに掃除されていた
机の上には美味しそうな料理が並んでいる
「あいつ…」
斉藤は笑みをこぼした
念のため、一口料理をつまむ
「今回はちゃんとうめぇ…」
斉藤は夕食を取った
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次の日
車を走らせ、斉藤がやって来たところは山の奥深く
山の中でも、道はちゃんと整備されていて進みやすいし、何より木々の景色が良かった
その山をしばらく行くと、大きな門が見えてくる
そこはそのまま素通りし、また道伝いに進んでいくと、今度は日本の屋敷のような建築物が見えてきた
車は屋敷の前に置き、斉藤は歩いて中に入って行った
足を踏み入れると、まずは日本庭園が広がっている
松の木、庭石、池、そこで泳ぐ鯉…
いつ来ても変わんねぇな…
斉藤はそのままずんずん奥へ進んでいく
そして、やっとのことで本当に屋敷の中に入った
靴を脱ぎ、長い廊下を歩き続ける
角を曲がったところで
「や♪」
と声がしたので、振り向くと真理子がいた
「正貴、久しぶり♪」
「前会ったばっかだろが」
「冷たいの、いつからそんな子に育っちゃったのかーしら?」
「るっせぇな…」
と二人がグチグチ言っていると、着物姿の女がパタパタとこっちへ走ってきた
見た目は40、実際は55
どこか気品のある女は、斉藤を抱きしめた
「正貴…!!」
「お袋…」
女の名前は斉藤光子(ミツコ)
真理子と正貴の、実の母親だった
