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刑事とJK

第29章 父の壁



小せぇ時から、オレの妻になるために育てられてきただなんて…


だけど…



「あんたの25年を無駄にするようで悪いが、オレは結婚しねぇ」



「いいえ、します」



「絶対しねぇ」



「……」


千花は急に黙った


かと思うと、胸を押さえて前屈みに倒れた


「ふぅっ…く、苦しっ…」



「おい、どうした…!!」



斉藤は、突然苦しみ出した千花の肩を掴んだ



すると、するりと細い腕が斉藤の胸元まで伸びた


千花は斉藤の顔を見上げる



「お優しいのでございますね…」


その顔はさっきみたいにきれいな顔をしていた


「えっ、今の演技かよ!!?」



「正貴さん、ますます好きになりました…///」



千花は少し身を上げて、斉藤の頬を唇で撫でた


「おい!!」


斉藤は慌てて千花を自分から離す




「正貴さんはわたくしが嫌いでございますか?」



千花は目を潤ませる



「そういう問題じゃねぇ、オレは自分で決める」



「何を…?」



「何でもだ」



斉藤は立ち上がった



「あんたもな、家の宿命だなんだと言ってねぇで、自分で見つけろ。
好きなやつも、結婚相手も、生き方も」




斉藤は部屋を出た






「正貴さん…」






千花は外の庭を眺めた




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