
刑事とJK
第34章 いざ出陣
敷地内に入ると、やはり広い庭が広がっていた
藤野は口を開けて、ただただ感嘆している
屋敷の中に入り、長い廊下を歩き続ける
真理子は、源十郎がいる部屋の前まで来た
ゆっくり襖を開ける
「…父さん?」
「おお、真理子か…どうした?」
源十郎は老眼鏡を外して、真理子を見た
すると、その後ろに見たことのない顔があったので、不審げな表情を作った
「どちらさまだ?」
真理子と藤野は部屋に入って座った
「わたくし、藤野泰輔と申します」
藤野は深くお辞儀した
「あたしね、父さん。泰輔と結婚することにしたの♪」
源十郎は特に驚いたようなそぶりは見せず、「ほう…」とだけ言った
「このたびは、娘さんを…」
「真理子ならくれてやろう。」
藤野の声を遮るかのように、源十郎は口を挟んだ
「えっ…、ほ、ほんとですか??」
「本当だとも」
源十郎はひとり頷く
「じゃあさ、この先この家を継ぐのは泰輔でいいんじゃない!?」
流れに乗じて真理子は言った
しかし
「それはならん。」
と言われてしまった
「何で?泰輔は正貴よりも頼りがいがあるし、しっかりしてるし…」
「跡を継ぐのは正貴だ」
「…まず、あいつには跡継ぐ気なんてないんだってば。何回言ったらわかんの?」
「嫁ももう決まっておる。正貴に跡を継がせる」
真理子はキレて、机をバンッと叩いた
「そうやって、なんでもかんでも押し付けるから正貴は家を出てったんだって!!
そろそろ理解したらどうなの!!??」
源十郎は話を耳に入れようともしない
「話聞いてよ…!!」
「正貴、そこにいるんだろう?」
源十郎は襖をじっと見た
すると、スルスルっと襖が開いて斉藤が出てきた
「やっぱり来たな」
「もうウンザリだ、こんなとこ」
源十郎は手招きして、斉藤に部屋に入るよう促した
