
刑事とJK
第37章 一言だけちょうだい
医療室はいつもに増して静かだった
「…津森?」
斉藤は、いつものように怪我だらけで医療室に入って来た
「津森…どうした?」
津森は顔を上げた
その顔は涙でぐしゃぐしゃだった
「…斉藤…」
斉藤は津森の横のイスに座った
「あたしは…やっぱりすごくなんかなかったわ…」
津森は無理に笑顔を作った
「……」
「あたし…あの警官の人を…助けられなかった…
目の前で…死んじゃったのっ…」
津森は口を押さえて、声を殺して泣いた
「おめぇは…頑張ったよ」
斉藤は津森の背中を優しく撫でた
その手は津森が泣き止むまで、ずっとずっと、優しく撫でつづけた
―――――――――――
「あの時から…好きだったのかしらね…」
津森は顔を上げた
するとそこには斉藤が立っていた
「!!
ちょっと、びっくりするじゃないの!!
入る時はノックしてよ!!」
「あ、わりぃわりぃ」
斉藤は津森の横のイスに座った
「手首、ひねっちまった」
…6年前と、変わらないわね…
「あなたは昔っから…」
津森は斉藤の手首をテーピングした
