クリスマスイブ
第2章 美鈴ちゃん
「ねえ美鈴ちゃん、お父さんとお母さんは?」
美鈴ちゃんは首を横に傾ける。
多分、迷子だ。
この場合、1番の解決法としては交番に連れて行くことだ。
少なくとも彼女の名前は分かってるし、住所が分からなくても両親が探してくれているならば、交番にでも連絡が入っているはずだ。
これからサンタクロースとしての仕事もあるし、僕にとってもその方が良いだろう。
「美鈴ちゃん、」
「なあに?」
「交番に行こう?」
僕の言葉に一瞬、驚いた顔をした彼女はフルフルと首を横に振った。
「ヤダ。」
「え?」
「ヤダなの!」
僕はオロオロした。
なぜ彼女は交番を嫌がるのだろう?
でもこの子が嫌がることをする訳にも行かない。
散々、考えた挙句、彼女を連れてサンタクロースの仕事をするしか出来なさそうだ。