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タイマー仕掛けのヌードモデル

第2章 ヌードモデル、感想を語る

「エロくなかったでしょ」

番組が終わって、私から口火を切った。

真剣そのものの現場の雰囲気はほんとによく出ていた。

ただ、裸のモデルさんを目の前にした主人公が、どう作品を仕上げればいいのかを苦悩するというのは現実味が薄い気がした。

現役の高3(たぶん童貞だろうけど)で、初めての裸婦モチーフとはいえ、
美大に行くための勉強を積み重ねてきたはずなのに、人体デッサンの基礎もできてないのかな。

そういう人の前でヌードになりたくないな。

ただ、
──裸婦って、意外とすぐ目が慣れるものなんだな──

というモノローグがあったけど、それはよく耳に入る感想だった。

絵画教室に入った高校生あたりが、予期しなかった裸婦の回に参加したあとの感想ね。

ヌードになるモデル嬢はガウンやローブ姿でアトリエに入ってくる。

その最初の時だけ、
そんな専用の服があるの? その下はほんとうにパンツも穿いてない素っ裸? ほんとうにそれを脱ぐの?

とドキドキするらしい。

裸になってからはかえって落ち着いて見られた、と素人ほど力説するようだ。

私はこの現象を「マネキン同化」と呼んでいる。

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