三匹の悪魔と従者たち
第8章 持たざる者
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『きちんと言葉を使うことだね』
『言葉?』
『そもそもちゃんと好きだって、愛してるって。 多分お前はアイシャにきちんと言ってないよね』
『言ってない……けど』
『おれがこう言うのも変だけどね。 ユーゴの場合はまずはそっからじゃないのかな。 もしスレイやアイシャを納得させたいのなら。 彼女を美しい、可愛い、愛おしい。 そう思う度に愛してると伝えるだけ。 もちろんお前なら出来るよね』
『うん。 それぐらいなら?』
そんなことで良いのかな?
もっと他に言うことがあると思うんだけど。 そんな風に腑に落ちない顔をしているユーゴにジンが薄っすらと微笑む。
『愛は例外なしに、すべからく美しいよ。 例え傍から見ると地獄でも』
言葉にするたびに、肌を重ねるたびに、際限なく増えていく。 そんな人生を送れれば幸せじゃないか。 どんなときも決してそれを惜しむべきじゃないよ、ユーゴ。 彼はそう言った。