三匹の悪魔と従者たち
第10章 再び王の間へ
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里の中でも高名な医師であるオレの元には患者があとを絶たない。
今日も日がな仕事を終えて、陽の落ちる頃を見はかり書類の束を置いて伸びをした。
そのデスクの隅をちらりと見やり、金色の装飾をされた郵便物に気を留めた。
「まさかあの大男が王子だったとはなあ……でもまあ、今後も付き合いはあるんだろうし」
(あの女、オレの顔を忘れてりゃいいけど)
そんな余計な心配をしながら、魔界の新しい王の噂話でもツマミに、今晩は飲みに行くかとオレは酒場へ向かった。
[完]