三匹の悪魔と従者たち
第3章 ジン × ルナとアリス
情事のあとはルナはいつも心地良さげに微睡んでいる。
今晩もそんな彼女の視線を感じたジンはベッドに戻るとルナのすべらかな髪や小さな耳、少女らしさを残す柔らかな頬や丸い肩に触れる。
アリスのそれに反して、意志の強そうな黒曜石の瞳は実はとても表情が豊かなことを彼は知っている。
情欲に溺れる時はもちろんのこと、怒りに震えて濡れる時さえ、彼女は芸術のように美しいとジンは思っていた。
それを縁取る長く濃いまつ毛にジンが口付けて、本当に、本当にさり気なく、口角がほんの少しだけ上がるルナを──────アリスとはまた違う意味で再び抱きたいと思う。
それは性欲とは言いきれず、突き詰めて考えようとするといつもジンは首を捻ってしまうのだった。
美しく、自分と同じに性に際限のない女性。
そんな相手ともし結婚すれば。
(そんな女性が存在したとしたら、おれはルナとアリスをどうするのだろうか?)
それでもこのままで居たい。
そしてきっと彼女たちは許してくれるだろうけれど、想像するとそれもなにかがつっかえたように喉に引っかかる。
考えても仕様がないと思いつつ、ジンは今晩は珍しく甘えるように身を寄せてきたルナを胸に抱いて眠ることにした。