三匹の悪魔と従者たち
第3章 ジン × ルナとアリス
元々の造りの良さもさることながら、彼のグレーの瞳の色は明かりの強さよって青みがかかり、薄く結んだ桜色の唇の、下の方がやや厚くなっていて、それが彼のいきすぎない男の色気を強調している。
見た目も性的にも立ち振る舞いも、ルナは彼ほど好い男というのは見たことがない。
時々よそ見するのは彼の悪い癖だが、そのたびに「やっぱりルナに勝てる女性はいないね」そう悪びれずもなく言われれば、むしろ「そう」などと髪をかきあげ、なし崩しに許してしまう。
(ジンは王になるつもりかしら)
彼の結婚となるとルナは複雑で、出世するジンを応援したい気持ちはもちろんある。
とはいえ今や彼女を姉のように慕ってくるアリスを思うと。
ルナがたまに苛烈になるのは、それはその相手が自身の分をわきまえない時、それから自分の大事なものを傷付ける時に限る。
そんな彼女だから、従者という立場。 それ以上のものをルナは望まない。
けれど、もしも、ジンの結婚相手。
それがアリスを傷付けるような、もしくは彼に相応しくない女性だったら。
(その時は、きっと私は────)