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三匹の悪魔と従者たち

第5章 ユーゴ × アイシャ



幼い頃より知識欲が人一倍旺盛な王子だった。


それは分かってはいたが、まさかここまでとは。

魔族の女性の中では黒髪の黒目が最上とされる中で、白っぽい金色の髪色で青い目の自分はやはり落ちこぼれなのだろうか。

彼女のことなど見向きもせずに、バリバリと仕事をこなすユーゴを目にするたびにアイシャは自尊心がすり減っていくのを感じていた。


「ユーゴ? 貴方の頭の中には他人に対する礼節もないのかしらね? 少なくともわたくしは、第三王子に与えられた無二の従者なんですけど?」

「礼節はあるよ。 今きみが飲んでるお茶と食べてるお菓子。 美食で知られる天使界のものらしいんだってスレイが言ってた」

「そうなの? わっ……そう言われればこれ、ふわふわで甘っ。 それにお茶のこの香りは地上の香草のものよね。 ね、ね。 弟たちに持って帰っていい?」

「お好きに」


PCを扱う合間にユーゴは側近のスレイにその旨をことづけ、「五分ほどで包んでくれるから」そうアイシャに伝えた。


「ありがとう! 最近はお砂糖も値上がりしちゃって。 先日産まれた妹で、もううち兄弟が八人よ八人」

「いくら元貴族の出だからって平民の魔族なら珍しくないけど。 だけど今きみんとこは両親とも定職持ってないんだからさ。 サカるのも大概にすればって親に進言したら?」

「さかる? 赤ちゃんを授かるのは天からの贈り物でしょう」


きょとんと言うアイシャを上目でちらりと見たあとに、無言でユーゴが仕事を進め始める。



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