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三匹の悪魔と従者たち

第6章 美味しい食事



女性の扱いからくる経験で、ジンはどんな場面でも自分を見失わない。
いつも俯瞰的にものを見て、こちらに有利にことを進めていくのは彼にとってはお手の物だった。



「そういう商談はジン兄さんが一番得意だもんね。 特に相手がエルフともなれば。 僕は昼まで地質調査かな。 データは随分と集まったけど南の辺りの方、まだ少し足りないんだよね」


シリアルとフルーツにヨーグルト。
集中力が増す朝は手っ取り早く糖質を補給して頭を働かせるのがユーゴの食事である。
暗い印象を与えがちな彼の黒髪であるが、中性的で人を油断させるその外見は、ある意味悪魔には相応しいといえる。

しかし今朝の彼の表情はどこか浮かなかった。



「ユーゴ。 城から南っつったら結構危険だぜ? よけりゃ俺も手伝うが」

「そう。 だから他の人に依頼しても、録な調査結果しか集まんなくってさ。 僕だけでも大丈夫だと思うんだけど」

「そうか? っても、ただでさえお前が歩くと、ウジャウジャヤバいモンがついてくるからな。 俺がいた方が作業に集中出来んだろ」


魔物の類は強い魔力に惹かれて集まる習性がある。

まだ体力も無く力も全く制御出来なかった子供の頃に、ユーゴはよく危険に晒されていたものだった。
当時そんな弟を庇っていた癖が未だに抜けない兄弟思いのゴウキである。



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