三匹の悪魔と従者たち
第7章 城外の朝
ここは年中陽の光が直接当たらないが、薄い雲のような様相で烟ったガスが遥か天井に立ち込めている。
暗い世界ではあるとはいえ、悪いことばかりではなく年中、さらに一日を通して気候の変化も少なく過ごしやすい。
今朝方食事を終えてから早々に外出の準備を終えて、彼は城の門戸から続く階段に座り、灰色の雲母の隙間から、一筋の光の線が地面に差し込むそれをぼんやりと眺めていた。
自分は、今まで余り悩みのない人生を送ってきたと、ユーゴは思う。
何だかんだ末っ子として可愛がられてきたし、彼の危険に遭いやすいという特性のせいで、父王に心配されスレイという優秀な側近にも恵まれ。
彼自身も器用な方であったから、能力不足でなにかに困るということもなかった。
だがそんなことは全部、周りの支えがあってこそで、自分はかなり実は、傲慢な性質なのだと最近になって気が付いた。
ほんの数日前に互いの気持ちを確かめあったはずのアイシャとは結局ことに至らなくて、ユーゴは歯痒い気持ちでいた。
あの時、自室のベッドに横たえた彼女を心身ともに、心置きなく自分のものにする予定だった。
なのに────────……