小さな花
第12章 Nobody knows
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年が明けた。
「結婚おめでとう」
「あけましておめでとうございます!」
「Wでおめでとう~♪」
「「あはは」」
仲良さそうに肩を寄せ合う倉田くんとタケちゃんは、笑い合ってグラスを高くあげる。
「ありがとう、ふふっ」
2人はもうすぐ東京へ引越してしまう。
同性婚を目標に、新天地で共に暮らし始めるそうだ。
シンくんは一番信頼していた、兄弟でもある倉田くんに話を持ちかけ、これを機に東京の片隅に支店を持つことになった。
「これからもよろしく。頼むよ、支店長」
「がんばります!」
タケちゃんはバーテンとしてもっと勉強したいと、すでに面接に行くお店まで決めている。
由梨さんは元夫に復縁をせまられていて、まんざらでもない様子なんだと倉田くんが教えてくれた。
「本当、人生は何があるか分かんねーな。」
シンくんはご機嫌に言った。
「せいら…」
タケちゃんが私をじっとみる。
「?…なあに?」
「どうってことない、そこらの女、なんて嘘。あんたは小さくて目立たないけど、ちゃんと咲くことができた花だね。」
「タケちゃん…」
何の話だ?とほかの2人は首をかしげている。
「自信もって、堂々とシンちゃんの奥さんやりなよ。ふふっ♪僕たちも頑張ろうねー、大地」
「さ、新居に帰るか」
2人を見送り、向き直ったシンくんのネクタイには今日もあのタイピンが光る―――。
END