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嵐びーえる。

第13章 番外編①

渡海side


猫ちゃんがいなくて、俺も高階も当直ではない日。

そして高階に、時間がある日。


そんな奇跡のような日にしかできない情事のあとに、高階は、俺の髪を優しく撫でる。

この時間が、俺にとっての幸せだ。

高「にしても、驚きですよ」


渡「何が?」


高「渡海先生が、あんな甘い声で啼くなんて」


真面目な顔でそんなことを言うから、気恥ずかしくなって俯いた。

おそらく今俺は、真っ赤になっていることだろう。

そして高階は、それを見て楽し気に笑っている―。


いつからか、あいつの考えていることが何となく分かるようになった。

だから、高階の驚きも理解できる。


というか、俺だって驚いている。

俺があんな乙女化するなんて。



まあでも、高階の前でなら、そんな姿を晒してもいいかな、と思ってしまう自分がいるから、もっと驚きだ。


渡「恋は盲目、か」


呟くと、訝しげに俺を見つめる高階と目が合った。


曖昧に微笑んで、俺は目を閉じた。


END


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