
嵐びーえる。
第18章 歌詞物語④
本番三分前。
スタジオに戻る。
遅くなった理由なんか、メンバーは分かってくれているから。
何も言わず、すれ違い様肩をポンと叩いたり、目が合ったらうなずいたり。
少し、安心できた。
震える手を隠し、迎えた本番。
僕は、出だしの一音で、ミスをしてしまった。
視聴者さん、共演者さんには気づかれないくらいの些細なミスだったけど、高校生たちはもちろん、メンバーも気づいているはずだ。高校生たちの視線が痛い。
内心動揺しまくりで、手が震えて思うように動かない。
けれど顔には決して出さず、その後はミスをすることもなく演奏を終えた。
