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嵐びーえる。

第20章 大丈夫 磁石

Sside


演技ではない、素のニノの涙を見たのは、久々な気がする。


滅多に弱いところを見せず、つかみどころのない恋人。



俺だって、メンバー以外とメインパーソナリティーをやった経験があるから、不安は痛いほどよく分かる。


できることなら変わってやりたい。



けれど非力な俺にできるのは、何の足しにもならない言葉をかけるだけ。


S「大丈夫」


それならせめて、言葉にすべてを託そう。


S「ニノの頑張りも、凄さも、一番近くで見てきた俺が言うんだから」


少しでも不安を取り除けるように。


S「本番はとにかく、楽しんで」


あなたの笑顔が見たいから。



S「メンバーも、俺も、ニノの味方だ」


俺の精いっぱいを、あなたに届けるよ。



S「ずっと、そばにいるよ」



俺の服の袖をぎゅっと握る小さな体を、ふんわりと抱きしめた。



声を出さずに嗚咽する背中に、何も言葉をかけられない。






N「ありがとう…」


ただ穏やかに笑ったニノは、電源が切れたように眠った。



頑張れ、ニノ。


俺はいつでも、応援してるから。



辛いときは、いつでもここにおいで。



END

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