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惑星ミラーミラー

第5章 〜謎のプラント〜

(1)

ソニアとエーイレブンは移動用カーゴで次のブロックへ向かっていた


住民用のシャトルトレインでは電力が足らず、作業用のカーゴを使うことになった


当然、這い虫機や機竜といった害虫たちと出くわすこともあったが、武器があれば比較的用意に進むことが出来た


ふたりが向かっているのはエアポートまでの中間に位置する小規模の空間


これらはすでに電力がまかなわれており、何かしらのシステムが稼働しているようなのだ


「……なんだろうね? まさか人間がいるとは思えないけど……」


「そのブロックが何のためのブロックかはわからないけど、いくつかの施設は今でも稼働してるんだぜ?

 例えば地下の発電所は今でも稼働して必要最低限のシステムを動かしている

 そうしておかないと余剰なエネルギーが溜まっていって爆発するからな」


「最後の人間が残していった施設ってわけね、そこにはシステムを運営させられるように多目的なロボットやアンドロイドが居てる可能性もあるわね」


「ああ、どうせエアポートへ向かう途中にあるんだ、寄り道ってほどでもねぇ」


地下通路のメンテナンスを行うための作業カーゴはソリッドステート・バッテリーで静かに、そして早く移動していく


超特急のシャトルトレインほどではないが、運搬車両くらいのスピードは出ている



暗い通路を駆け抜けるカーゴ


数時間後、次のブロックに到着した



「……なんの施設? っていうか工場かしら?」


「……アンドロイドの姿は……無ぇな……」


「……施錠もされてないみたい、入れるわよ」



氷の地下深くに作られた空間

ぎっしりと建造物を詰め込まれている

その地下の空間たちを、地下鉄のようなシャトルトレインが結んでいる


ここで作られた何かしらの物が、以前居た商業ブロックへ送られていたのだろう


何かをいちから作り出す工場にしては空間が小さい


ビルの中に入り、薄暗い廊下を進む


いくつかの部屋を覗いたものの、それらは使われいる形跡が無い


受付カウンター、職員用更衣室、食堂


どれらも最近使われたような様子がない


「……このビルは使われていないぜ?

 隣に別館があるみたいだ、そっちを確認しよう」



上の倉庫らしきスペースも段ボール箱の山が積まれているだけで、それらも埃だらけだった

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