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惑星ミラーミラー

第7章 〜残された人々〜

(5)

ソニアとフレッドは宇宙船の外へ出た

「……ここは!?」


ソニアが周りを見渡す


薄暗く、広い空間


天井もとても高い


そして大型機械がゴォーン!ゴォーン!と稼働している


「……ここは工場の中だよ、……マスクはとっちゃダメだよ、ここは凄い放射線が出てるんだ

 だから、ここには虫も、アイツらもやって来れない」


フレッドは先頭にたって工場の中を進む

暗い中をまっすぐ歩いていく

歩き慣れた行程のようだ

あとをついてソニアも歩いていく


「……アイツら?」


前をいくフレッドは応えることなく進んでいった


「……急ぎましょう、ソニアさん!」


フレッドは突然速足で駆けていく



「……え? なに? なに?」



戸惑いながらもフレッドに離されないようソニアもついていく


工場の吹き抜け2階の通路から誰かがついてきている気配がする


それもひとりではない


フレッドは大きなコンテナの陰にかくれた

ソニアもその後ろにまわる


「……なんなのよッ!?」


「シィッ! アンジェリーナです」


「アンジェリーナ?」


フレッドは狭いボックスのくぼみにソニアを押し付ける


ソニアからは前が見えない


コンテナの影が床に映り込む


小柄な身体つき


髪の毛が長い


“……女のコ?”


少しだけでも確認したかったが、フレッドに全身で押さえつけられ前が見えない


フレッドは自分が前に立ってソニアを守っていてくれるように見える


近づく影


フレッドはさらにソニアを壁に押し付ける


「ちょっ……、ちょっと!」


フレッドの背中にソニアが胸を押し付けているような状況になる


そのまま満員電車の中のような体勢


しばらくそのまま身を隠す





やがて




影はどこかへ去っていった……



「……なんだったの、アレ?」



「一旦、宇宙船のほうへ戻りましょう」



ソニアはわけがわからぬまま再び来た道を引き返していくことになったのだった……



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