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惑星ミラーミラー

第10章 〜忘却の星〜

(1)

テレビの画面ではある惑星を映し出していた


アナウンサーはこの緑と水の自然豊かなネイチャーテラリウムの世界を熱く語っている


「ご覧ください、このジャングル、そして澄みきった青空、海はこんなにも透明です

 この星は数十年前、劇的な変化を遂げこのような豊かな惑星へと生まれ変わりました

 今は素晴らしい観光惑星として、また保護地区として多くの人々を魅了しています

 アモルフィス・コーポレーションが再開発した理想郷

 ここは惑星ミラーミラー!」




白髪交じりの初老の男性は裸のままベッドから降りるとテレビの画面を一瞥してシャワーを浴びに行った



ひとり残された女もけだるそうに起き上がるとローボードの煙草を手に取った


そしてテレビに映された南国の楽園を眺める


ロングヘアをかきあげる


その髪も白髪交じりで、ろくな手入れもせずボサボサだ


いや、さきほどの行為で髪はボサボサになってしまったのかもしれない



煙草を灰皿に消しこんだところで初老の男性がベッドに戻ってきた


腰にタオルを巻いている


男はテレビのリモコンを持って画面を消した



「何が楽園だ、とんでもねぇ」


女は返事をしなかった


男は腰のタオルを床に落としてベッドに上がる


「……もう一回するか? ソニア」


「ええ、お願い……イレブン……」



男は女の腰に手をかけた



あれから10数年



ソニアは50代になっていた



最近この再開発された惑星の特集をよく見る


開発が進み、レジャー施設も充実、カジノまで併設された新しい島がトレンドなのだ



ソニアは記憶の片隅にある哀しい惑星を思い出す


それはテレビにほ報道されない惑星の秘密


ソニアは自分から身体を翻し、自分から尻を突きだす


イレブンと呼ばれた初老姿の愛玩ドロイドは求められるがまま腰を進めていった…



あの星の最後の記憶……


年老いたソニアは快楽に包まれながら、あの時を思い出していた……


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