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惑星ミラーミラー

第1章 〜遭難〜

(4)

ソニアは手持ちの端末に最低限のデータをコピーして事務所らしき部屋から出た


部屋の外は凍てつく温度


再びヘルメットをかぶる


通路の照明が点いているものの、あいかわらずのガレキだらけでゲンナリする



機械の合成ボイス「A-10」から受信した社員寮らしき施設に向かう


途中足元を何かが走り抜けた気がする



機械の虫が押し寄せてきたら厄介だ


ソニアは足早に歩みを進めた



さっきから通路の隅をカサカサ音がする



この施設は彼らの巣窟になっているかもしれない


早めにここを離れたほうがよさそうだ


虫たちは集団で襲ってくる


何もかも剥がされ、機器は彼らの身体に取り込まれ、生身の身体は焼かれてしまう


ソニアはヒートガンを片手に通路を進むのだった


ピーー!



再び通信が入る


「ソニア!近くにエレベーターが有ります!
 電源をまわしてありますから、降りてください」


「ありがとう、A-10
 ちなみにそっちの状況はどうだい?
 順調かい?」


「はい、予定通り私のデータはA-11に移行完了しました、これからデータ抹消作業に入ります
 今後はA-11に引き継ぎますので私からの通信はこれが最後になるかと思います、ご武運を!」


「今までありがとうA-10!助かったよ
 あ、エレベーターも見つかった!
 これで更に地下に降りるね」


脱出ポットに組み込まれていたシステム「A-10」はもともと船外活動用シャトル「A−9」から引き継いだシステムだった



大気圏突入時にシャトル「A−9」から脱出ポット「A-10」に引き継がれ、役目を終えた彼は自らのデータをさらに「A-11(エーイレブン)」に移行させていく


こうしてデータを消していかないと、衛星軌道上の船が何らかの攻撃を受けてしまうかもしれない


ソニアをサポートした「エーテン」は自らのシステムを抹消して、その後自爆した





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