テキストサイズ

惑星ミラーミラー

第2章 〜惑星トワイライトの記憶〜

(1)

ソニアは久しぶりに熱いシャワーを浴びた


冷え切った身体にじんわり熱が伝わってくる


シャワーだけで済ませるつもりだったが、やはり全身の悪寒が気になり足元の水抜きの栓を引っ張ってお湯を貯めはじめた



熱い湯を肌に当てていても、思わず身震いしてしまうぐらい冷え切っている


「うぅ…! 寒い寒いッ!」


氷の惑星だけあってミラーミラーには水はじゅうぶんに存在していた


地表は分厚い氷に覆われた惑星ミラーミラー


火山帯近くの地下にいくほど解けた海の層があり、周辺は鉱山になっていた


ミラーミラーは純ソリッド鉱が潤沢であった


アモルフィス・コーポレーションは次々と鉱山を買い取っていき実質惑星ミラーミラーはアモルフィス社のものと言ってよかった


だがそれも遥か過去の話


すでに鉱山は枯渇し、アモルフィス社は権利だけを残して採掘を放棄していたのだった


つまり惑星ミラーミラーは無人の惑星の筈なのだ


いまソニアがいる空間もすでに放棄された施設である


エーテンに誘導され職員寮のような場所を散策


一部の部屋は先住民がついこないだまで生活していたかのような散らかった部屋もある


ソニアは比較的綺麗な、あまり使われていなかったであろう部屋を見つけてひと息ついたのだった



狭いバスタブではあるが湯は張れるのでゆっくり身を沈める


冷えた身体、足元や背中に熱さが慣れない


ようやくゆっくり身体を漬けて深いため息を吐いた



「ふぅーー、たまんないわぁ〜!」



脱出ポッドが大気圏に突入して、数時間後に湯船に浸かっていることは自分でも奇跡だと思う


ソニアはあまりの自分のラッキー具合に最初こそフフフと遠慮がちに笑みを浮かべる程度だったが


「アハハハハハハッッ!!!」


と、部屋じゅうに響くような大きな声で笑った


笑うことですこし気がラクになった


緊張感もほどけてくる


「……食べ物もあるかなぁ……」


ちゃぽーんと浴室特有の響きの中、ぼぉぉっとするくらいの余裕が生まれてきた



ふぅっ、と再びため息をついたとき

目の前の湯の中に沈む自分の胸を見つめる



出発前、この胸は男性の愛撫を受けていた


ソニアの頭はぐるぐるまわり始める……


ストーリーメニュー

TOPTOPへ