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トライアングルパートナー

第33章 神の再生

 k区区長室の席に座っている今田純子はきょうも愛が拡散されていくと思うとワクワク、ドキドキが止まらなかった。
 すでに慎之介の製造した巨大ヒトメボレを目の触れにくいゴミ回収車に搭載しアルファー波を発生させながら区内を巡回させていた。効果は徐々に現れ始めていた。
「ねえ、植木、きょうの目玉の予定は何?」
「午前10時、文科省にて教育制度改革方針諮問会議に出席し、午後2時、非正規職員待遇再考会議が同省にて、午後4時、トライアングルパートナー制度導入諮問会議が、午後7時ホテル大蔵のスイートルームにて、時期総理大臣候補の崖渕幹事長と二人きりの会食となっております。議題は民法における日本戸籍法の婚姻関係について、となっております。その後、夜行便で長崎に飛んでいただき、いじめ対策会議に特別来賓として出席いただきます」
 植木がタブレットをのぞき込みながら説明した。純子はしばらく考えてからスマホを取り出す。
 植木は純子の秘書として常にそばに付いていた。彼は純子に公私共に24時間も張り付いていた。お互いそんなに四六時中、顔を見ていて飽きないかと心配してしまいそうだが、そこは多情愛の精神を推進する純子と腹心の部下ならではの行動で、多情愛推進会議はいつも新鮮な意見交換がホテルスイートルームの密室で行われていた。参加者は相手のあらゆる所を愛する。これはもっとも親交を深める儀式であり、参加者は最も楽しみにしていた会議だ。

  *

 慶子は副区長として公務に励んでいた。
 進一は小山内グループを統率する小山内財団理事長として経済界をリードする存在になっていた。
 天界に住んでいた慎之介が作り出していた偶像であるエロMエッサイ無が消滅した。慎之介はエロい心をエロMエッサイ無に封じ込めていた。エロい女となった今、慎之介は人間の女として新しい人生を進んでいく決心をした。慶子と進一と慎之介の3人もトライアングルパートナーとなった。慶子はもっとも強い存在である天界の力を持つ慎之介を手に入れた。慶子や純子は慎之介が作り出した偶像であるところの実態であるのかもしれない。慎之介が天界の人間である神であるのかどうかは慎之介のみぞ知るところだ。
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