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トライアングルパートナー

第3章 リア・ラブゲーム店

 ゲーム店員には妄想がサーチできるのか? だとしたら、彼は妄想するだけで犯罪者になる。それは困る。妄想が人に認知されたら妄想ではなくなるではないか。そうは思っても、進一には慶子のかわいさはたいそう気になり、妄想をしないことなど不可能に思える。年がいもなく、職場の自席で、仕事をしながら気が付くと、慶子を見守っている。
「僕にもあんな元気な娘がいたら楽しかったかもな……」
 彼はそう思いながら、あんな娘がいたら大変だぞ。彼は実の娘ではないから彼女の裸体を想像してしまうに違いない。彼女が娘ではないからだ。彼は自分の妄想を棚に上げ、いかん、いかん、と首を振る。この妄想も、よなよな、純子にいろんな設定でセックスをさせられているせいかも、と自己嫌悪していた。多忙な純子と言えども、休日にはセックスしている。しかし、絶対的に回数が少なくなってきた。そのせいか分からないが、進一と純子には子どもがいない。店員は愛にサイズはない、ということを言っていた。愛するとは、その人を思い描く時間の長さではないか、と進一は思う。それなら、純子のほうが通算で長いことになる。やはり、愛のサイズはないのだろうか。それとも、今、思っている人に時間を使うことが愛なのか。愛が一つと考えると、どれが愛か分からなくなる。愛はひとつではない、と仮定するとしっくり来る。進一は純子も慶子も愛している。進一はどちらをより愛しているのだろう、と考えた。すると、思い描く時間の長さか、と考えが堂々巡りする。

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