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機動戦士ガンダム🎄☃戦場のメリークリスマス🎄☃

第6章 レクイエム

リリカと夫のツーショット写真が目に入り、彼女も愛する人を失ったんだということを改めて実感した。

リリカは何も言わずに温かいココアを淹れてくれた。
ココアを飲もうとするとミオとハロがじゃれてきた。
何も知らずに無邪気に笑うミオや、「カラテ、ゲンキカ?カラテ、ゲンキカ?」と飛び跳ねるハロを見ると心が癒やされる。

ミオとハロと遊んでいるとカラテは心に安らぎを感じていた。かなり久しぶりの安らぎのような気がする。

ミオは遊び疲れて眠ってしまった。ハロも手や足を引っ込めてボールのようになると、ミオの枕元にコロコロと転がっていった。

リリカが温かいココアを淹れ直してくれる。ココアの温かく優しい感触に、また涙が溢れてくる。

「レオン先輩を助けられませんでした」

カラテは大粒の涙を流して自分の気持ちを口にした。今まで戦争を甘く見ていた。いや、戦争という現実から目をそむけて、巨大ロボットを操れるヒーローにでもなったつもりになっていた。

敵にも味方にも大切な人がいて、そんな命をやり取りする戦争の恐ろしさや虚しさを今更ながらに実感した。
「どうして戦争なんてしなければならないのかな?好きな人も大切なものも全部失っちゃうのに」と言って泣いたコメットの姿が頭に焼きついている。

レオンさんを助けられずに、コメットを泣かせてしまった。何のために戦争なんか・・殺し合いの先にどんな未来があるというんだろう?

そんな思いを泣きながら話すカラテをリリカは優しく抱きしめてあげる。

「わたしたちは不幸にして戦争の時代に生まれてしまった。でも、戦士であるのなら戦わなくてはならない。少しでも早く戦争を終わらせるように平和を求めて戦わなくてはならない」

リリカは夫との写真に目を向ける。カラテも見る。

「わたしの夫は戦争で散ってしまった。平和な時代を求めて戦って散った・・レオンだって同じように平和な時代を求めて戦ったはずよ」

リリカは夫との写真から視線をカラテに移す。

「散って行った人たちの想いに応えるためにも、わたしたちは平和を求めて戦わなくてはならないの」

リリカの腕の中でカラテの瞳は少しずつ輝きを取り戻していた。

「カラテならできるわ、自分らしい勇敢な戦いが。平和のために」

「ありがとう、リリカさん。オレ、元気出ました。がんばります」


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