無料で楽しめるちょっと大人のケータイ小説

雅人の店に着くと、物凄く良い匂いがして、雪は腹がペコペコな事に気づく。雅人は厨房で煙りと格闘しながら、分厚いステーキを焼いていた。

「雪、来たんだ。あっ、カウンターに置いてるペリエとグラス、テーブル席に置いてくれない？」

「えっ、雅人さん今日は、ワイン飲まないんですか？ペリエなんて珍しい。」

「ふふ、今日は雪と素面で喋りたいからねー、いつも話せないような話し、素面なら出来るでしょ？」

雪はテーブルにペリエとグラスを、セットしていつも出来ない話しってなんだ？と思う。雅人が分厚いステーキに酸味のあるバルサミコで出来たソースをかけて、綺麗な白い皿の上に置いた。

「雪、ナイフとフォークも用意しといて。」

雪は言われた通りに四角いテーブル席に、ナイフとフォークをセットして、雅人が座るのを待った。

「雪出来たよ、肉食べよう。出来たてだから美味しいよ。」

雅人がステーキを、テーブル席に置いた。本当にこの世の物とは思えないくらいに美味しそうだった。雅人と向かい合わせで座りながら、雪は成といる時みたいにガツガツ食べないように細心の注意を払って、ステーキ肉をカットし、口に運ぶ。レアに焼かれた肉汁が雪の口の中に広がっていく。

「ん〜、血も滴る良い肉とはこの肉の事！！」

雪は我ながら変な事言ってるなぁと思った。余りにも美味しすぎたので、感動の言葉が思い浮かばないのだ。ふと雅人を見ると神妙な面持ちで雪を見ている。