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妄りな昼下がり(仮)

第5章 名もなき男 のち 秋斗 時々 達也

「秋斗さん、ホテル行きませんか?」

そう言って初め誘ったのは雪の方だった。飲み会の帰りだった。秋斗は面食らって、たじろいだ。当たり前の反応だった。

「雪ちゃん、なんで俺?誰にでもそうやって誘ってるの?俺、全然イケてないの、雪ちゃんから見ても分かるでしょ。だって雪ちゃんより背も低いじゃない。なのに体重はもっともっとあるんだよ?」

「私、秋斗さんの事が気になる好きなんです。だから、イケてないとか言わないで…」

「俺なんかの、「どこが好きなの?」雪ちゃん。」

「全部、全部なんです。」

そして2人は結ばれた。2人は会えば毎回セックスをした。秋斗はまさに覚えたての猿で一日に5回くらい雪を求めることもあった。
相性が良いとかそんな問題では無い、雪が初めての女で秋斗を仕込んだのだ。
でも雪は友達の彼氏という、ステータスが欲しくてあっさりと秋斗を捨てた。肯定し続けて自信のついた秋斗は今までのへりくだっていた、秋斗とは違っていた。
秋斗は雪が別れようと言った時、次に彼女が出来る気がしないと泣いていたが、
最後は捨て台詞を吐いて別れてくれた。
その捨て台詞を、今更思い出そうとしている。
たまに雪はあの時の、秋斗とシンクロする時がある、二年間一緒にいたのだ。多少の思考は似てしまったのだろう。

「「お前みたいな女が、まともに男と付き合えるわけない。」」
確か秋斗の捨て台詞はそんな感じ、秋斗の捨て台詞は種として撒かれ、呪いとなって、開花してしまったのだ。

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