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妄りな昼下がり(仮)

第5章 名もなき男 のち 秋斗 時々 達也

捨てた男達の言霊が呪いとなって、雪を自暴自棄にさせているのだったら、一生1人でいる方が良いのでは無いかと雪を思わささせる。
言霊は確実にある、秋斗だって肯定し続けていたら、へりくだった様子は無くなったし、仕事に関しても上司に関しても前向きに発言するようになった。
雪がどうして成にこだわって、今までずっと一緒にいるのか分からなかったけど、男に手荒にされ色んな事を走馬灯しているうちに段々と分かってきた。
成は空気のような存在なのだ、居て居心地が良い、無くなったら息苦しい、雅人や達也に乗り換えるチャンスはあった。でも雪は頑なに拒否した。
他の男達がセックスの対象であるのならば、成だけは違う次元にいた。
そう気づけば、すぐさまに家に帰りたくなって、走って家に帰る。息切れして肩を揺らし、近所の人が雪の走り姿にギョッとしながら振り返る、駐車場に成の軽バンが止まっている。仕事から帰って来たのだ。
お帰りなさい。と雪は心で呟いて、玄関のドアを開ける。
家は静まり返ってシンとしている。
薄暗く人の気配がしない。

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