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妄りな昼下がり(仮)

第5章 名もなき男 のち 秋斗 時々 達也

帰りの車の中で、快感の波が去ったらやはり妙に冷静な自分がいて、雪は自分が自分で怖くなってしまう。
達也がハイライトのメンソールにピンク色のライターで火を点ける。
途端に実家の黄色いヤニ汚れの壁紙を思い出して、吐き気に似た噎せをする。

達也がごめん、ごめんと、煙草を携帯灰皿でもみ消した。

背中がザワザワと何か嫌な物に取り憑かれた様な気がして、冷や汗が出てくる。今の雪の顔は青ざめてるかもしれない。
この感情は、なんだろう。淫魔に取り憑かれているのだろうか?雪は思う。

凄い倦怠感で、目を瞑りかけた時に達也が言った。

「雪ちゃん。×××しよう。」

と、雪は良く聞こえなかったけど、2つ返事でOKした。

「はい。」
あまりにも気怠かった。

この日を境に雪から、達也にLINEを送る事は無くなった。

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