🌹密会🌹
第10章 🌹March(終章)-1🌹
どうか、どうか信じて....。お願い....。
美月は祈る思いで、始終、険しい顔で自分の話に耳を傾けていた日比谷教頭が口を開くのを待っていた。
「...つまり、お前は自分を利用し、凌辱した碌でも無い男とは到底恋愛感情等あるはずもなかった。...そう言いたいわけか?」
「は、はい!私が...私がずっと好きだったのは黎一さんだけですから....。ごめんなさい、嘘を吐いて、その上貴方を傷つけてしまってごめんなさい。」
美月は、胸に留める事しか出来なかった、嘘偽り無い好意を伝え、心からの謝罪をすると、彼に頭を下げた。
だが、日比谷教頭はそれを一笑に伏すと、蔑むような眼差しを美月に向けた。
「それで...2度も私に嘘を吐いたお前の信憑性に欠ける話に納得しろと?」
「ご、ごめんなさい、本当にごめんなさい。でも今回の話は事実なんです。本当です。」
「どうだかな。この状況を上手く収める為にまだ真実を隠している可能性だって充分あり得る。先程の話、全てが嘘だとは思わないが、俺に詮索されて都合が悪い部分は誤魔化しているんじゃないか?」
「誤魔化してなんか...いません。これ以上、何を誤魔化せって....言うんです?私が...何を隠してるって...言うんですか?」
美月は、ショックで自分の唇が戦慄くのを感じた。