🌹密会🌹
第11章 🌹March🌹(終章)-2
結局、黎一さんは今にも凍えそうな美月にバスタオル以外の、身に纏う物を与えなかった。
「黎一さんの着ない服でも何でもいいです、何か下さい」と必死に訴える美月だったが、
「今からどうせ脱ぐだろう。必要無い。」と
無情にも却下され、暖房の効いていない冷え切った1階を通りすぎ、また2階の彼の寝室へと戻ってきたのだった。
何で...寝室にも暖房を付けないの...?
彼だってスーツや靴下がシャワーでぐちゃぐちゃなのに...。
エアコンのスイッチに見向きもしない彼を不思議に思いながら、彼女は何とか寒さを凌ぐために、しゃがみ込み極力身体を丸くしていた。
最早、自分への嫌がらせなのではないか。
そんなネガティブな考えが頭を過った瞬間、「美月」と自分を呼ぶ黎一さんの声に彼女はハッとして、立ち上がると、そそくさと駆け寄った。