🌹密会🌹
第3章 🌹June🌹
「!」
その瞬間突然スピードを上げたかと思うと、助手席側のドアガラスから見えていた私の住んでいるアパートを無視して通り過ぎる。
「お前は何も分かっていないな。」
夜も深まり、灯りの減った住宅地が密集する中、無人の公園近くに車を停めると、力強く私の腕をひいた。
「将来を案じているなら、生徒指導室を活用すればいい。愚痴なら友人同士で事足りる。何故、わざわざお前を呼び出す必要がある?」
口元は笑みを浮かべているが、視線は刃物のように鋭い。
「か、考えすぎではないでしょうか?」
そう口に出すのも憚られたが、おずおずと返答すると、彼の刃物のような瞳がスッと細められた。